狭間に落ちる



ひんやりとした、心地よい声だった


顔にしわが増え

白髪混じりになって

疲れ切った男は

それでもやっぱり涼しげに微笑んで

小川のようなひとだった


「きみは、今戻ったばかりかな」

「そうよ」


さっき別れたばかりだというのに

あたしが泣くのは

我慢が足りないと思った