狭間に落ちる



男はあたしを自分の家に案内した

着替えや、食事を与えてくれて

木こりが住むような森の中の家で

あたたかで、すずしい家で

久しぶりに心を休められた気がした


木のテーブルに頬杖をついて

ハニートーストを食べながら

更に細々とした説明を聞く


正直なところ

男の言うことは常識外れで

あたしにはよくわからなかった


けれど一区切りつく度

「わかった」

と言って、先を求めた

小川のような、そんな心地よさのある

男のそれは懐かしい、そんな声だった