舞蝶.・。*



日向はあたしのカツラを取った
あたしの髪が流れ出る。
「このほうがいい…」
日向はあたしを見て微笑んだ

卑怯だっ!!!
なんであたしだけドキドキして、日向は平然としてられるの?

「…テレビでもみるか」
日向はリモコンをとって電源を付けた。

「いやぁぁぁぁぁっ!!!!」
え・・・?
今の声はテレビから?
あたしがテレビに目を向けると…
血の気が引いて行くのが分かる。

長い髪の女の人が口と目から血を出して笑ってる

「きゃぁぁぁぁぁっ!!!!!」

あたしは平然とテレビを見てる日向に抱きついた
そして、テレビの画面が見えないように日向の胸に顔を埋めた

「…怖いの?」

日向は不思議そうに聞いてくる
あ、あたりまえじゃんっ!!!
お、恐ろしい...恐ろしすぎる…。

日向はフッと笑って「莢にも女らしいとこ。あるんだな…」と言った

日向の言葉があたしの心にささった。

やっぱり。
日向はあたしを女として見てなかったんだ…
だから、普通に一緒に寝て、普通に抱き合って、普通に笑いあって…。

あたしは1つ1つの全部が…好きなのに…。
日向はそんな事、考えもしなかったんだね…。

そうだよ。あたしと日向。
何回も一緒に寝てるのに、日向は1回も手を出してこなかった。

あたしを好きじゃないから。
あたしを女として見てないから。