「でも…何でアメリカ?」
日向が聞いてきた
あたしの代わりにお父さんが答える

「莢が5歳だった頃、アメリカで暮らしててな。その時に世界的に有名事務所からオファーされたんだよ。もちろん莢は断ったんだけど…そこの人がお菓子を出してきてな“ここに入ったらお菓子毎日あげちゃうっ”っていったもんだから、莢はお菓子に連れて入ったんだよな~」

みんなは呆れてる・・・

「まぁ。6歳で大統領の前でバイオリン演奏して、7歳で歌手デビュー。モデルにも勧誘されたんだが、絶対やらないっ!!と言い張って、やらなかった。んで8歳になって日本に戻ってきたわけだ・・・」

「それで、また仕事が?」
あたしは頷いた・・・
「…コンサートで歌ってくれないかって」

「莢って歌えるんだ・・・」
「珍しいな・・・」

それ。褒めてるんですか…?
喜んでいいんでしょうか……?

「ああ。莢の歌。心に響く。
綺麗で透き通った声をしてる」

「日向。見てたのっ?」
日向はクスッと笑って「ああ。意味も分かった」と言った

「そんな~・・・」
「莢っ!!!歌って!!」
「いや」

みんなは、落ちこんだ・・・けど!!!
歌えないっ!!無理っ!!!