――――――

ムシムシとした暑さで目が覚めた。


額や背中に滲み出る汗
眩しい日の光。


あれ?
私どうしたんだっけ?


ボーッとした頭で思考を巡らせると
フラッシュバックのように
断片的に蘇ってくる記憶。


……そうだ、
私バンド練習の後具合悪くて倒れて――
アイツ、ユウにここまで
運んで来られたんだ。


彼の部屋の寝室らしいベッドに
横になったままの私の目線の先には

南国の海を思わせる
グラデーションの鮮やかなカーテンが
風に揺らめいてるのが見えて
少し見とれた。


――何となく
ケイの夢を見ていた気がする。

その理由は多分
昨日アイツが“大丈夫”って
手を握ってくれたのが
遠い記憶と結び付いたからだ。


いくら私が手延ばしたからって
何でアイツ手なんか握るのよ

しかもあんな優しい顔で。

胸の中が妙にモヤモヤしながらも
ふと我にかえる。


昔目覚めた時にはあった
左手のケイの掌の温もりは
当然今は感じられない事に――。


ふぅっと深く息をついて

落ち込む心をごまかすためと
身体にまとわり付く暑さが妙に不快で
寝返りをうとうとすると
身体が自由に動かない事に気がついた。


……えっ!?何で?


慌てて自分の身体の状況を確かめると
紫のタンクトップを着た
私の腰に絡み付いた
日に焼けた男の腕。


……ッ!!


驚いて首を少しだけ後ろに向けると
グッスリと眠るユウの顔が
めちゃめちゃ近くにあったから

――もうどうしようもなくなって


「きゃあぁあぁああ!!」


ドカッ!!


「イッテェェええ!!」