大きな花束

そこには確かにベンチに座って何枚も折り紙を折っている男子の姿があった。


その男子は扉の音であたしの存在に気付いたのか、振り向いてつぶやいた。

「あ、誰かと思った。」

たったこれだけ
たった一言だけでもあたしは自分でびっくりするくらい、心臓が高鳴っていた。

「何か‥ごめん」

これだけしか言えなかった。
あまりにも顔が整いすぎて、かっこよすぎて、、

「別にいいよ。謝る事なんてしてないじゃん。」

「うん。‥あのさ、何で折り紙?」

「何でって言われてもなー」
そこであたしは初めて男子の笑顔を見た。
アハハてほほえんでた。


あたしもつられて笑ってしまった。

「何か変な質問でごめん!;;」

「全部大丈夫。あ、そろそろ点滴するから、俺戻るね。」

扉を開けて戻っていく背中をずっとみていたあたしは我に帰った。

あっ‥、もー何で名前聞かなかったんだろー‥

後悔はつきもの。