「リョウ」 聞き慣れた声。 あたしは頭を持ち上げた。 声の主はあたしの背後に立って、あたしが振り向くのを待っている。 「星がきれいだよ」 「知ってる」 あたしは振り向かないし、空も見ない。 知ってるもの。 そしたらこのひとは、あたしからまた奪おうとするもの。