一番近い空



ふわりと後ろから抱き締められた。

ちっとも嫌じゃない。

だって、お兄ちゃんだもの。


「いいんだ。十年も待ったんだから、いくらだって待てる」


やっぱり、ないよ。

お兄ちゃんがお兄ちゃんでないなら。

あたしひとりぼっちだよ。

ずっとひとりぼっちだったよ。