自宅マンションの近くにある公園に
ぼろぼろのあたしは捨てられた

ごろんと芝生に投げられると
手荷物の鞄があたしの肩にがつんと当たった

「ちゃんと別れてよ、誠也と」

にこっと笑う美雪さんの笑みに恐怖を感じた

男たちを連れて
大笑いしながら去っていく美雪さんが
まるで鬼のように見えた

この前までは
天使のように見えていたのに

いつのもあたしなら
美雪さんに嫌みの一つでも言えるけど

そんな気分にはなれない

美雪さんには逆らえない

怖い…

もう、嫌だ

こんな痛くて、つらい思いなんてしたくないよ

あたしは木陰に逃げ込むと
鞄の中にある携帯に手を伸ばした

着信履歴にはあいつの不在通知が何件も入っていた