あたしはどこか心が軽くなった

あいつは元カノに会ってないと思えたから

誘われたかもしれないけど
誘われて会っていたのなら
帰りがもっと遅くなっていたはず

だけど定時にあがって帰ってきたくらいの時間に
家に帰ってきてる

もしかしてこれから呼び出されるのか?

そうか…
仕事が終わった時間に電話で呼び出すのかもしれない

そう思ったとたん
あたしの心が重たくなった

これから携帯が鳴って呼び出されて

あたしはこの家で帰りを待つのか?

どんな話で呼び出されているか
知りながら
あいつを送り出すのか…あたしは

いかないで…なんて可愛らしい言葉は言えるような性格じゃない

無理だ

言えない

「果恋ちゃん? 具合悪いの?」

「え? あ、いや別に」

あいつは不思議そうな顔をして
スーツの上着を脱いだ