「これは果恋ちゃんだけの問題じゃないよ」

「あたし一人の問題だ」

「違うでしょ
僕と果恋ちゃんの問題だ
僕が納得できる理由じゃなきゃ堕ろさせない」

「なんでそんなことを言うんだ?」

「二人の問題だって言ったでしょ
それに僕は産んで欲しい
果恋ちゃんに、僕の子を産んで欲しいんだ」

「だ、駄目だ」

「どうして?」

「駄目だからだ」

「さっきから言ってるけど
それじゃあ全然、理由になってないんだって」

「きちんとした理由になっている」

あいつがくすくすと肩を揺らして笑った

なんで笑う?

どうして笑顔でいられるんだ

あたしが妊娠したんだぞ?

理想の女性とは程遠いあたしが
あんたの子を妊娠したのに

どうして

産んで欲しい

…なんて軽々しく言えるんだ