いつもの久我先生……

あたしのよく知っている誠也

大好きだよ、誠也

「久我先生って
意外と抜けてますよね」

あたしはにこっと笑うと
廊下を歩きだした

「海堂さんも制服のリボンが曲がってるよ」

歩き出したあたしに向かって
久我先生が出席簿で頭を叩きながら隣を歩く

「え? うそ…って曲がってないですよ!」

「海堂さんの隣ゲッド」

にこっと久我先生が笑う

あたしもくすっと笑うと
先生の肘でわき腹を突いた

もうっ…
バレるだろうが

「ならあたしは…
久我先生の隣ゲッドぉ」

高校卒業したら
手をつないでデートしたいね

三年後に
あたしを迎えに来てよね…誠也

あたしは未来の二人を想像しながら
並んで歩く久我先生の
白衣の裾が揺れるのを見ていた







『あたしの仮旦那は兄貴の親友』
          終わり