廊下を歩きだすあたしの手首を
ばしっとあいつが掴んできた

あたしが振り返ると
あいつがじっとあたしの目を見ていた

「本当に食べ過ぎ?」

「それ以外に何があるって言うんだよ!」

「妊娠…してる、とか?」

あたしは
あいつの手を振り払うと

「馬鹿言うな」

と一喝した

「なら、いいけど」

「に…妊娠してるわけないじゃん
たった一回で」

「ちゃんと生理きてる?」

「うるさい
男がそういうことを聞くな
それにここは学校だ、久我先生!」

あたしはぷいっと首を振ると
すたすたと廊下を歩き始めた

どうして

妊娠を気にしているんだ?

ただの食べ過ぎだ

そう思ってくれよ

頼むよ