薄暗かった、銀庭の中が、突然明るくなった。
高い石塀の上に、点々と置かれた松明(たいまつ)に火が点けられたのだった。
サーシアは、辺りを見回した。
罪人でうようよしていると思っていたが、人の気配が全く無い。
ただ、銀庭の内側の石塀は、古くなった血が染みこんでいるかのようだった。
その石の壁も、地面の石畳も、大部分が、赤黒く変色していた。
サーシアは、辺りを警戒し、身を固くした。
「サーシアよ!」
松明の更に上の方から、王の声が響き落ちてきた。
サーシアが見上げると、闘技場を見下ろすかのように、石塀の更に高い所に王は立っていた。
「・・・・」
サーシアは、黙って王の言葉の続きを聞いた。
「今から、狼をそこに放す。
まずは、一匹だ。
10分経過したら、また一匹追加する。
さらに10分経てば、また一匹追加だ。
狼は数日何も食わせておらん。
奴らも死に者狂いで襲ってくるであろう。
ガイルが戻るまでそれを続ける。
よいな。」
王は、サーシアにそう告げると、後ろに控えておいた、たっぷりとした椅子に、ドスッと腰掛けた。
「オ・・オオカミ・・・」
サーシアは、あまりの恐怖に足下が震えだした。
喉はカラカラに渇き、呑み込むツバさえ出なかった。
ヨロヨロとした足取りで、壁際に背中をピッタリとつけた。
先程兵士から渡された短剣を、グッと握りしめた。
「・・・短剣か・・・。
まぁ・・相手は女だ・・・
それくらいは見逃してやろう。」
王は、そんな一人言を言いながら、銀庭を見下ろしていた。
高い石塀の上に、点々と置かれた松明(たいまつ)に火が点けられたのだった。
サーシアは、辺りを見回した。
罪人でうようよしていると思っていたが、人の気配が全く無い。
ただ、銀庭の内側の石塀は、古くなった血が染みこんでいるかのようだった。
その石の壁も、地面の石畳も、大部分が、赤黒く変色していた。
サーシアは、辺りを警戒し、身を固くした。
「サーシアよ!」
松明の更に上の方から、王の声が響き落ちてきた。
サーシアが見上げると、闘技場を見下ろすかのように、石塀の更に高い所に王は立っていた。
「・・・・」
サーシアは、黙って王の言葉の続きを聞いた。
「今から、狼をそこに放す。
まずは、一匹だ。
10分経過したら、また一匹追加する。
さらに10分経てば、また一匹追加だ。
狼は数日何も食わせておらん。
奴らも死に者狂いで襲ってくるであろう。
ガイルが戻るまでそれを続ける。
よいな。」
王は、サーシアにそう告げると、後ろに控えておいた、たっぷりとした椅子に、ドスッと腰掛けた。
「オ・・オオカミ・・・」
サーシアは、あまりの恐怖に足下が震えだした。
喉はカラカラに渇き、呑み込むツバさえ出なかった。
ヨロヨロとした足取りで、壁際に背中をピッタリとつけた。
先程兵士から渡された短剣を、グッと握りしめた。
「・・・短剣か・・・。
まぁ・・相手は女だ・・・
それくらいは見逃してやろう。」
王は、そんな一人言を言いながら、銀庭を見下ろしていた。


