ガルル君が向かった先は、後ろの席。

今朝の乱闘で顔に沢山の絆創膏を貼った白虎君の所だった。

…軽く身構える白虎君。

朝は完全に彼の敗北だったが、今度はそうはいかない。

机の上で硬く拳を握りしめ、油断なくガルル君を見据える。

一触即発の空気が漂う。

そして次の瞬間。

「ごめん」

ガルル君はペコリと頭を下げた。

「は…?」

毒気を抜かれたように目を丸くする白虎君。

そんな彼に背を向けて、ガルル君は今度は斑鳩君の所へ。

ここでもまた。

「ごめん」

ガルル君は深々と頭を下げる。

「お…おぉ…」

拍子抜けした顔で、斑鳩君もコクコクと頷く。

最後にガルル君が向かったのはラビさんの席。

「突き飛ばしてごめん」

同じように頭を下げると。

「いいんだよ、ガルル君!」

ラビさんは嬉しそうに笑みをこぼした。