「エド〜?どこ?」

森の奥。
小さな家に、儂は1人で住んでいた。

死なぬ我が身を隠し、長い年月を、ただ息をするためだけに生きてきた。

―ありあに会うまで。

「ありあ!来てたのか?」

「ええ。今日はお菓子を焼いてきたわよ。」

化け物を、他と変わらず接してくれ、かつ愛してくれる、愛しいヒト。


ありあがいてくれるだけで良かった。
ずっと一緒にいたかった。
だから…。


「最近、変なの。」

ありあが首を傾げて言う。

「この間から、しつこく言い寄ってきていた男ね。」

「そいつがどうかした?」

「急に消えたの。」

眉をひそめて、ありあが耳打ちしてくる。

「良かったじゃないか?困ってただろ?」

「う…ん。でも、なんか…」

悲しげな顔が気になって、そっと抱き寄せた。

「私と関わった人が消えてるようで…。心配なの。」

「ん?」

「エドまで消えないでね?」

潤んだ瞳で、見上げてきたありあは、とても可愛くて。