ごくん。
生唾を飲み込む音がした。
「じゃあ、ちょっとだけ…。」

そそくさと、ライの後をついて出ていく。

パタン。
扉が閉まったことを確認したのち、稚早に向かう。

「…言ったことがあっただろう。」

静かな声に、抑えきれない怒りを滲ませる。

「ずっと探していた、愛しい人のことを…」

さすがに稚早も気がついたようだ。
カタカタと震えながら、後ずさる。

「し…しらなかったから!」

青ざめる稚早を眺めながら、さて、どうしてくれよう…と考える。


―ああ。いいことを思い付いた…。ククッ。


「稚早。大和を消したいんだな?でもなぁ、それは儂が困るし。そこでな?…………お前が消えるのがいいんじゃないか?」

にこやかに、そう言うや否や、フワリと稚早に手をかざした。





最後に見えたのは、恐怖に青ざめる稚早の顔だった。