五加木の当主が浬張から旅立ち、話は千紫へと戻すことにしよう・・・
「某は確かに巫女を連れてまいれと申したが、話が違うではないか」
笹木は眉間に皺を寄せながら皮肉に発し目の前にいる者へと視線を向けた
「恐縮ですが私しが代役として参りましたでございます」
笹木の目の前には頭を下げたままの老婆がいる。溜め息を盛大に吐きたい所だがグッと押し込めれば
「ならばそなたは前任者となるのか。して、それには訳があるだろう」
巫女にも神の声を授かることが出来る存在で、国によっては様々だが現役引退し隠居をする巫女も少なくない。だが今回は・・・
「後任者の巫女は、此度の戦で命を落としましたでございます」
・・・成る程のう
老婆の言葉に笹木は納得したように頷いた
巫女は重心とされる人物でもある反面、戦などで敵国にとっては邪魔な存在となっていく
「して、話は戻すが某がそなたを呼んだ理由は存じてるな?」
「はい」
「申せよ」
「はい。此度の件につきまして、私共は力添え出来ません。否、出来ないのです」
老婆の言葉に笹木は怒る訳でもなく、老婆から視線を外し肘を付いた
「・・・この国の神は不在中なのか?それともこれはそなたの力不足なのか?」
笹木の思わぬ問に老婆は一瞬たじろいだ
「・・・先程申しましたように、申し訳ございませんが「某はその様な事を申したのではない。この奇怪な出来事は治まるのか」
この国など別に興味ない。某は緑にこの国の見張りを任命されただけであり、実質どうなろうと関係ないのだ
さて、此度の件をどのように緑に伝えようか
目の前の老婆を見ながら笹木はそんな事を考えていた

