迷姫−戦国時代


未だ当主不在の千紫では
あの夜の後、どうなったのでしょうか



「ほう、口説きの最中を中断させてまで某を呼び出しておいて結果はこれか」


薄気味悪くクツクツと笑う笹木の姿に兵達の顔色は青く染まっていく。その中で元々気の弱そうな兵の一人は腹部を強く押さえ振るえているではないか




「はて、この状況一体どうすればよいか」


目を細め、目の前を見据えている笹木に回りの者首を横に振るばかりである

城から少し離れた所に小さな神社が建っている
そこはこの国の神が奉られてる本体の神社とは異なり当主が病弱になったりしてこの国の何処かにある本体に行けぬ時の為などに使用される神社だ。笹木達はこの神社に変化が現れたので急いで駆け付けたのだが、深い霧が神社を囲み中、尚且つ今は夜中だ。視界が遮られ全くというほど前が見えない。試しに一人、中に入らせれば、入口から戻ってきた。また本人によれば真っ直ぐ進んでた様だが気付けば振り出しに戻ってしまうということにも驚いた




某はこの国の当主でもなければ神の加護を受けるような者ではない。こんな時に・・・

「緑がいれば何か変わるかもしれぬ。そこの御主、ちと西賀にて使いを出し緑を・・・否」

緑を呼べば何か変わるのではと考えたが、不意に思い止まれば顎に手をあてた。笹木のとんでもない言葉に兵士は一瞬身体が揺らいだが何とか耐えれば、目の前の青年は次にどんなとんでもない事を言うかどぎまぎしていた。ちなみに先程腹部を強く押さえていた兵は既にこの場に居なかった






暗闇の中、提灯の灯火から伺える笹木の表情はニヤリと笑い目の前の兵士に、命令を告げた


「この国にも巫女がいるはずだ。その者を探しだせ」