迷姫−戦国時代


案内された部屋は先程とは違い値が張りそうな家具などが沢山置かれた一室に案内された

ここは寝室の様だが当の本人が見当たらない



仕方がないが取り敢えず腰を下ろしこの部屋の主を待つことにした






だが次の瞬間後方の襖が勢いよく開かれ楠木が現れ中央に腰を下ろした





この俺が気配を感じれなかっただと・・・。これがこの男の実力・・・





「のう若造よ。御主は何を見たのじゃ?」

殺意をも込められた視線を向けられるが竜次はさも動じずに口を動かした



「残念だが俺は何も見てはいない。


俺は聴いただけだ」



あんたは見たんだろう?と挑発紛いの言葉を掛ければ楠木はニヤリと口元をつり上げた



刹那、




「ほんに、五加木の若造は生意気じゃな」


先程よりも近くなった声に竜次は目を見開き声のした方向へ振り向いた



「・・っ!」


その場には竜次の声と刃物がぶつかり合った音が響いた




「ほう、避けれたか。流石といえば流石じゃな」

刀を片手で持ち、クツクツと笑う楠木に竜次は数歩離れた所で右膝を付いた状態で刀を身構えていた



「儂を怒らせて若造に利益はないじゃろ?だが宥めるには利益がある。御主の命が助かるとな」

刃先を眺めながら話す楠木にこの場では確実に不利である事を瞬時に理解した竜次は内心で舌打ちをする


「・・・月とあの唄、こんなことは前例がないから俺には存じない。だが一つ言うならばあんたの怒りが正に今の現状、ということだ」


俺は調べなければならないから今宵に旅立つ事にする、と竜次は告げれば刀を鞘に納めれば立ち上がり襖へと向かおうとしたが再度振り返り

「それと、あんたが先程向かわせた忍には別の場所に向かえと訂正した方が吉かとな」


切れ長の濃い藍色の両目を楠木に向け、そう言い放てばその場を後にしたのであった