迷姫−戦国時代

−−−「私は心を表す舞をしましょう」

「今宵も全ての者が貴方様の為に捧げます。
そして広いお心で我等を見守ってくださいまし

この宴は、無くす事のない貴方様への愛。
さあ、終わる事のない宴を始めましょう」

−−−

これは終盤に歌われる歌詞だ

さっきも言った様にこれは不完全な唄だ。だがたった一つ、二つの歌詞が加わるだけで最悪な事態になりかねない


俺の読みが正しければこの歌詞は唄われないだろうと読んでいた



刹那

「・・・っは、わ、私は心を表す、舞をしましょ・・う」

微かな声にも俺は決して聞き逃さなかった。回りを見渡したが誰もその唄に反応せず視線は前の男に向かれたままだ。何故疑問に思わないんだ?何故、誰も気付かないんだ?生憎今の俺には見える範囲は限られており状況を把握出来ずにいた



あの唄を聞いた瞬間に身体の中の何かが震え上がりまた同時に思いもよらぬ展開に眉を潜め困惑していた






「こんな事ってあるのかよ」






この言葉を発した次には視界が揺らぎ気が付けば元の現状に戻されていた






竜次は暫し茫然としていた己に舌打ちをすれば


先程の光景を脳内で整理する





まずあの現場に替わる前に俺は何を見ていたか。それが全ての経緯の鍵となるだろうがあの時は・・・




そうだ、月が視界に止まったんだった


竜次は立ち上がり庭へと出て明るく照らされた月を眺めた














「こんなこと「失礼致します竜次様」

正木が急いで駆け付けて来た様子に竜次はぶっきらぼうに返事した
「・・・なんだ」

「楠木殿の使いの者から、貴方様をお急ぎのお呼びでございます。如何いたします」






どうやらあの男も何か感じた様だな・・・・

「わかった。今から向かう」