迷姫−戦国時代

町中に提灯など飾られ夜になれば明かりを灯され小豆色の屋根がより深く色付けられるだろう


大勢の人々で賑わう中、退紅(あらぞめ)に染められた着物を着た娘が皆の視線を惹いていた。


「由利、離れるなよ。浪江(朝波)が居る所までもうすぐだから」

「えぇ宮兄さん」

宮火と美羽は狛津が用意してくれた席に向かう為人だかりを歩いていた。人々は立派な衣装を身にまとい琵琶を包んであるだろう布を持ちせかせかと歩いており美羽はその姿に思わずほくそ笑んだ






「・・・凄いですね」

多くの人々が祭りを今か今かと席につき待ちぼうけているとその中で見覚えのある人物を見つけた


「あそこのようだな。行こうか」

宮火も気付いていたらしく人にぶつからぬ様に前を歩いていく


「無事に着れたようだね。由利、綺麗だよ」

「宮兄さんがいるから当然ですわ。ありがとうございます」

「そろそろ始まる頃だ、座りましょう」

三人が居るこの場所は狛津からの贈り物らしく豪華で尚且つ式場全体を見渡す事が出来る絶景の席だった


















式場に貫禄のある年老いた一人の男・・・恐らくは此の国の当主である。男が登場すると辺りは一瞬で静寂になる


「では今宵、古くから続く伝統の祭りを行う。皆の者始めるとしようぞ」

その言葉を合図に式場に多くの男達が出て一斉に琵琶を弾き始めたのであった


二重奏、三重奏、四重奏、子供達、三弦と呼ばれる狭間達など様々な組み合わせで演奏される琵琶はどれも魅力的で美しかった

人々は料理を食べたり酒を飲みあうなどとても賑わっていた



「狛津さんはまだ一度も見掛けないのですが」

「あの方は此の祭りの主役である存在だ。直夜に登場するだろう」

「とても楽しみですね」

美羽の言葉に宮火も頷いたのであった