迷姫−戦国時代

静かな森の中の断末魔は何れ程響き渡るのだろうか。狛津は己の聴覚と感を頼りに断末魔のした方へと向かっていた

そして近づくにつれ血の臭いが強くなっていく

久しぶりに嗅いだ血の臭いに思わず菫の最期の時を思い出してしまった



無事でいてくれ・・・!そう願いながら臨機応変に対処できるように琵琶から刀を抜き神経を鋭くさせる






そして狛津が見た先には・・・



土は血に染まり横たわっている忍達の姿であった。そしてその横には立ち尽くしている美羽の姿があった





狛津は急いで駆け寄り腕を掴んで走り出した



「取り敢えずこの場から去るぞ」



美羽は返事はしなかったが狛津に腕を引かれながら後に続いたのだった









川岸に着き二人の足は漸く止る


「・・・大丈夫か?」


刹那、美羽はへたり込み涙を流した


「私は・・・己の保身の為に人を殺めました。覚悟はしていましたのにやはり・・・」


怖いと呟いた美羽の肩は震えとても小さく見えた



狛津は不意に疑問になる。殺すのが初めての娘にあの数は無理ではないのかと。そしてもう一つは美羽の着物に返り血が何処にも付いてない事であった





美羽は一体何者なんだ・・・






「っ、人の生死など、旅をするにあたっては避けて通る事などできやしないのさ。起てるか?」

だが狛津は疑心を捨て、日も暗くなり今は身の安全の為直ぐ様下山しようと美羽を催促する


「・・・はい。
すみません」


弱々しく応え立とうとする美羽に狛津は彼女の腕を勢いよく引き上げると案の定驚いた顔をした美羽に笑い掛ける




「ほら、・・・走れるか?」




不器用な彼なりの彼女の励まし言葉に美羽の心は少しだけ和らいだのであった