迷姫−戦国時代

―――恐れるな、使いなさい。そなたには”使う”資格があるのです。


耳から囁かれる声に美羽は頷いた

ありがとうございます。皇朱様・・・





「・・・蘭稲(らんとう)」

不意に口から出た言葉はまるで初めから知ってたような感覚であった

次第に瞳の色素の薄い赤が消え茶色にと、深く染まっていく

美羽が一歩踏み出すとその瞬間一面が彩りの蘭に包まれる

風や木々のざわめきなど全ての動きが身体の隅々にまで響いていく。今の美羽には未だに隠れている忍の位置を探すなど容易である



刹那、美羽を危険人物と判断したのか四方八方から一斉に大量のクナイが美羽を狙う。だが、一面に咲き誇る蘭が美羽を守るように勢いよくクナイを地面に叩き落とす。その光景は稲妻のごとくである

遠距離の攻撃は無効と見た敵は木々から飛び出し一斉に姿を現したのであった






「今なら貴方方を見逃します。ですがもし逃げないのならどうなるか分かりません」

敵方の主要人物らしき忍が美羽の言葉に口を開いた

「娘、お前何処の国出身だ。神の力を使えるのは只者ではない」

そう、今の状況は普通ならあり得ない事である。だが美羽は違う、千紫の当主である存在すなわち神の力を使える





「答えは?」




「無用だ」


その言葉を合図に一斉に飛び掛かる忍達に美羽は悲しい表情をするのであった




お父様、お兄様、私は初めて人を殺めるのを許して下さいませ。今日此処にもって私は・・・生き残るべく千紫の当主として戦います




「いきなさい・・・」




美羽は右手を前に出すと同時に蘭の花びらの色が次々赤に変わり忍達に向かっていったのであった