琵琶の弦が伸び四方八方に広がる
敵の一人が間合いを取るべく距離をとるがいつの間にか狛津が目の前に現れた
「・・・っ早い」
直ぐに反応しようと身体を動かすが狛津の蹴りが懐に入り敵の一人が後方に吹き飛ぶ
敵を蹴りあげると後ろから敵が攻撃を繰り出そうと向かっている
「狛津さん危ないです!」
刀を振り落とそうとした敵の攻撃が不意に静止した。否、敵は動けないのだ
よく周りを見回すと最初に四方八方伸ばした弦が辺りに張り巡らされ敵の動きを止めていたのだ
狛津は刀の向きを転回させ後ろを見ずに切り裂きまた一人、倒したのであった
残る二人は用心しながら狛津へと刃先を向ける。場はとてつもない緊張感が漂っている。狛津は一度美羽へと顔を向け互いに頷くと美羽は後方へと駆け出し狛津は前進して駆け出していく
久しぶりだなこの感覚。五年振りか・・・大分腕が鈍ってる。これじゃあ師匠方になんて言われるだろうか・・・
弦を極限にまで伸ばし器用に相手の一人の手首に絡ませる。その隙にもう一人の上からの太刀筋を刀で受け入れ狙い目をずらし懐に忍び込ませていた短刀で肩に刻み付ける
「―――っ遅いな!」
急所を狙われた一人は力無く倒れ込みもう一人の視界を僅かながらに遮った。この状況で時は既に狛津に傾いていた
その僅かながらの時間を狛津が無駄にするはずがなかった。手首を絡ませた弦の感覚を頼りに締め上げ、張った方へとまた弦が伸びる
「俺を狙ったのを後悔するがいい」
相手がもがき苦しむ声が次第に弱くなり聞こえなくなったのを確認し周りを見渡した
辺りは間者の亡骸が残り弦を戻し刀をしまい琵琶に戻そうとしたら、
「三人・・・・三人だと!?」
確か己を狙ったのは四人のはずであるが此処にいるのは三人・・・
「っ最初のあいつか!・・・ハッ、しまった」
由利が狙われている
狛津は急いで由利(美羽)の後を追う為走り出したのであった

