狛津は岩に腰を掛けて此処から見える国の風景を眺めていた
腹が減れば木々に実っている果実を食べ衣服はひっそりと家に戻り着替える
これを繰り返しする事により祭まで残り二日、逃げ切ろうとしていた
今まで此処は誰にも知られたことがない。まさに隠れるには打って付けの場所である
そして今日も逃げ過ごせるだろうと確信していた
だが、
背後から僅かな気配を感じとった
間者か・・・?
まさか此処がばれるなんて・・・
小さく舌打ちをすると睨み付ける様に後ろを振り返す
「やっと見つけましたよ。狛津さん」
振り返ればそこには可愛らし娘もとい美羽と呼ぶ旅人の一人が立っていた
「まさか旅人のあんたに此処がばれるなんてな。日は短い、早く帰りな」
皮肉に言い相手を突き放そうとするが動じてない。寧ろ近くまで寄って来たではないか
「まだ暗くはありません。暫く、私も此処に居させて下さい」
そう言い美羽は狛津のいる所から少し離れた所にある物の前にしゃがみこんだ
「・・・皆さん方がずっと探してましたよ」
それを見たまま此方を見ずにつらつらと話す美羽に狛津は話す気にはなれずその場から静かに立ち去ろとしていた
「菫さん、此処にいたのですね。もしかして毎朝向かってた場所って此処だったのですか?」
美羽の言葉に思わず足を止め振り返るが彼女は未だに此方に背を向けている
「だって、綺麗ですもの。
―――――菫さんのお墓」
狛津の視界には此方を振り返った美羽の姿と、
愛しい人の名前が彫られてある墓石が映ったのであった

