祭が近いためか狛津さんの家には衣装など必要な道具などが沢山送られてきました
「そうか・・・今日も帰ってないのか」
残念そうにされた狛津さんの師匠であった江尾さん。昨日は硲さんが来られ、その他にも沢山の方々がこの家に訪ねて来ていました
「私も探しているのですが気付く時は何時も去った後でして・・・力添え出来ずすみません。あのよろしければ上がって行きますか?」
江尾さんは「そうさせてもらうとするか」と言い中へと入られました
差し出したお茶を一口含むと江尾さんは私の方を見ました
「娘さんには、伝えておこうと思って。聞いてくれるか?」
私は強く頷くと話を続けたのでした
「儂等は、実は知ってたのだよ。あの娘が間者であった事をな」
美羽は江尾の間者の言葉に目を見開いた
「菫さんは間者でしたのですか。・・・それは狛津さんからは聞いてませんでした」
「狛津だけ知らなかったんだ。否、あいつは気付きたくなかったのかもしれぬな。恋仲の相手を疑うのを」
不意に江尾は右手の袖口を捲り上げるとそこには手首から片側まで深く傷つけられた古傷が刻まれていた
「儂は枇杷の三弦の中でも琵琶を造るのが随一と言われておる。これは昔まだ若かりし頃間者に付けられた傷なのだよ」
古傷を語られる江尾さんの表情は何処か懐かしむような感じでした
「江尾さんは、傷を負わせた間者を恨んでおりますか?」
首を横に振り目を細めながらにこやかに、
「・・・恨んでなどいない。寧ろ感謝しておるくらいだ。
”儂等”は間者は間者でも、あの国の者は別格である」
私は混乱している姿に江尾さんは口元を吊り上げ嫌らしく見つめるのです
「あの国とは昔ながらの深い縁があるんだ。それを知ってるのは儂等ごく一部の者だけだがな」
「そうか・・・今日も帰ってないのか」
残念そうにされた狛津さんの師匠であった江尾さん。昨日は硲さんが来られ、その他にも沢山の方々がこの家に訪ねて来ていました
「私も探しているのですが気付く時は何時も去った後でして・・・力添え出来ずすみません。あのよろしければ上がって行きますか?」
江尾さんは「そうさせてもらうとするか」と言い中へと入られました
差し出したお茶を一口含むと江尾さんは私の方を見ました
「娘さんには、伝えておこうと思って。聞いてくれるか?」
私は強く頷くと話を続けたのでした
「儂等は、実は知ってたのだよ。あの娘が間者であった事をな」
美羽は江尾の間者の言葉に目を見開いた
「菫さんは間者でしたのですか。・・・それは狛津さんからは聞いてませんでした」
「狛津だけ知らなかったんだ。否、あいつは気付きたくなかったのかもしれぬな。恋仲の相手を疑うのを」
不意に江尾は右手の袖口を捲り上げるとそこには手首から片側まで深く傷つけられた古傷が刻まれていた
「儂は枇杷の三弦の中でも琵琶を造るのが随一と言われておる。これは昔まだ若かりし頃間者に付けられた傷なのだよ」
古傷を語られる江尾さんの表情は何処か懐かしむような感じでした
「江尾さんは、傷を負わせた間者を恨んでおりますか?」
首を横に振り目を細めながらにこやかに、
「・・・恨んでなどいない。寧ろ感謝しておるくらいだ。
”儂等”は間者は間者でも、あの国の者は別格である」
私は混乱している姿に江尾さんは口元を吊り上げ嫌らしく見つめるのです
「あの国とは昔ながらの深い縁があるんだ。それを知ってるのは儂等ごく一部の者だけだがな」

