迷姫−戦国時代

例え目が見えなくとも気配だけで分かってしまう方





「お・・・・しょ・・・さ、ま」

そう、狛津さんでも近所の方々でもない私の唯一無二のお師匠様

お師匠様が何故此処に・・・。それはきっと・・・最後に止めを刺すつもりなのですね


そう思い殺されるのを待つ為私は瞳を閉じたのでした



「・・・菫、お前は幸せか?」

不意に唐突な問いに私は瞬きを一回する

私は・・・幸せでした

好きな方を守る為に死ぬ事を

「自ら命を絶つ事は、滑稽だ。お前は残された身内を考えれないのか」



−−−「菫」

狛津さん・・・

師匠の言葉にふと彼の声が聞こえたのでした

彼を想うと次第に涙が頬をつたり畳の上に落ちる

私は・・・貴方様を二度も気付けてしまうのを許して下さい


勝手に
勝手に、


貴方様から離れてしまう私を許して下さい



あの日、貴方様と交わした約束を破ることになってしまい・・・申し訳ありません

出来ることなら演奏、見に行きたかったです



「今のお前の顔はまるで”生きたい”と申してるようだな」

生きたい・・・確かに私は生きたかったのかもしれません

ですがその想いは昨夜で断ち切りました

私が死ぬことで狛津さんが守れるなら

己の命を捨てます


「・・・こ、ろ・・し・・て、くだ・・さ・・い」

それは私の最後のお願いをお師匠様に告げました


「−−−っ!」

チャキ

暫くし、部屋の中で金属の音だけが響く

これは刀を構える時の音つまりお師匠様により命を絶つ。お師匠様に拾われなければ今頃私の命は無かった筈。貴方の手で生かされ貴方の手で殺される私。それは本望なのかもしれません


最後の力を振り絞り私は口を開く

「・ぁ・・りが・・と・・ぅ・・ござ・・ぃ、・・・ま・・・す」

そう告げ止めを刺されるのを待っていましたのにそれは一向に来ませんでした






「菫・・・。難事であった」

弱々しく呟かれた声を最期に私の意識はそこで断たれたのでした