迷姫−戦国時代

立派な打掛に身に纏った狛津さんと私は玄関前に出ていた


「これ(打掛)、ありがとうな」

その打掛は以前から私が繕い直していた物でありそれを知っていた狛津さんは私に礼をするのでした

「祭は未の刻だが俺の出番は大分遅くになりそうだから」

「頑張って下さいね。皆さんが狛津さんの演奏を楽しみにしております」

「そうだな・・・」と不意に私の頬に当たりそうで当たらない所で止める仕草は端から見れば手を添えていると見られるかもしれない

鈍色の瞳が真っすぐに私を見つめそれはまるで何か伝えようとしているようでした

両手を狛津さんの手を優しく包み込むように私もまた手を添える

届きそうで届かない私と貴方

今後二度と触れられないだろう貴方様に愛しそうに頬を寄せる

例え此処(手)だけでも貴方様の温もりに触れたい・・・触れていたいがために

そして名残惜しそうに手を離し狛津さんに精一杯の笑顔を向ける

「いってらっしゃいませ。狛津さん」


「いってくるよ。


菫」


そして笑顔で狛津さんは出掛けていく姿を見えなくなるまで見送り続けたのでした



















暫くしたら私は居間に座り周りを見渡す


二年間。たった二年間、されど二年間。私にとってこの場所全てが貴方様と過ごした愛おしい場所。そして立ち上がり様々な部屋に向かっては眺め昔を思い出す


−−−「あんたもやってみるか?怪我するなよ」

−−−「悪い、つい癖で部屋に戻らず寝過ごした」

−−−♪〜♪♪「あ、もうそんな時間か、悪い。ありがとうな」




・・・トン、

襖を閉じ着いた場所は狛津さんに与えられた私の部屋


殺伐した部屋の中そこには以前水の入った湯飲みと懐刀だけが異様な空気を醸し出す


そこに座り私はその二つを見つめた後、袖から以前しまった三角に折られた紙包みを取り出しす





一旦目を閉じけじめをつけ目の前のを見つめた





今から私は自害する・・・