迷姫−戦国時代

そして祭の前日
狛津さんと私が夕餉をとっている時でした


「明日は忙しくなるな」

「フフ、とうとう明日ですものね」

「ああそうだ、皆が待ちに待った祭だからな。菫には初めての祭だから忘れられない日になるだろうな」

優しく微笑んで口に食べ物を運ぶ狛津さんに私も微笑む

本当は祭の前日には主要者にもしもの事があるといけないため国のお偉い方々の家に泊まり込み身を守るのが習わしとなっていたのですが狛津さんはそれを断り家にいるのでした

私は此処にいてくれる嬉しさと明日への寂しさが混じりあっていました




明日、明日に彼は国一番の琵琶師であると認められる




明日から狛津さんは・・・きっと手の届かない遠い存在になってしまうのかもしれませんね

「そんな訳では無いが」


「・・・え」


私は声に出してたのだと理解しおもわず口に手を当てた




「・・・あ、あの、わ、私」

この時の私の顔はきっと赤面してあられもない顔であろう。その事によりまた身体が熱くなる


「確かに明日以降から俺は正式に国一の琵琶師として認められる。そしたらこれまでの生活は一変するだろうな。だがな、明日になろうと俺は俺だ。それはこれから先変わる事はない。菫の事を決して寂しい思いなどさせない」

真剣な眼差しが私の姿を映す
その言葉がとても嬉しくつい我が儘を言ってしまいました


「・・・なら、約束を琵琶へと誓って頂けますか?」


狛津はそれに承諾し壁に置いてある琵琶を手にとる


「誓うよ。
俺はお前の為に、琵琶を弾き続ける。守っていく・・・だから、・・・」


途中で口を閉ざしてから私を見つめ「続きは明日な」と微笑んでから演奏を始めるのでした











貴方様の演奏を聞くのがこれで最後になってしまうのだと



その時は知らなかったでしょうに