あの日を境目に私と狛津さんの間は以前よりも心を打ち解けるようになりました
「んじゃ今日も行ってくる。昼には帰る様にするからな」
「はい。いってらっしゃいませ」
祭まで残り半年となり国は準備やら稽古やらと、一層賑やかになっていました
彼を見送った後、私は家の中に入る
居間で縫い物の作業をしていると何かの気配を感じ手を止める
「・・・そこにいらっしゃるのは分かっております。お師匠様」
そして音を立てずに現れた半月振りの師匠の姿に思わず姿勢を正す
「いつまで待たせるのだ。祭まで残り半月ではないか」
「分かっております。しかし私の策では残り僅かな日である時こそ隙が出来狙い易いと考えております」
いつの間に私はお師匠様に平然と嘘をつくようになったのか。仮にもこの方は私の育て親である方。その事を思うと胸が締め付けられる
「失敗すれば命は無いぞ。もし逃げれば国総出で追い詰めるのを肝に銘じよ」
「私に任せて下さいませ。それまで手を出さぬ様にお願いします」
きっと私の嘘に薄々感ずいているだろうがお師匠様は承諾してくれました
「やはり・・・感情など持たせたのは失敗だったな」
そう呟き去っていかれたお師匠様の言葉におもわず胸が裂けるような感覚に陥る
ただ一人、部屋に残された私は手元に視線をずらす
先程から作業している・・・解つれた所を繕い直している祭の衣装を
お師匠様は分かっているでしょう
私の答えはもう決まっているのです

