迷姫−戦国時代

あれは二年前でしょう、私がこの国に足を踏み入れたのは


それは丁度緑が生い茂り美しい琵琶の音色が何処からともなく聞こえてくるのでした

枇杷の人々の琵琶の技術は他国の者からも素晴らしいと称賛される程であります




履き慣れた鞋で道中を進む中、とある屋敷から一際美しい琵琶の音色が聞こえつい足が止め立ち聞きをしてしまう程でした


この様な音色を同じ人間が奏でているなんて雰囲気だわ

暖かく全てを包み込む様な優しい音・・・



曲が終わり先程の音色に名残惜しかったのですが私は目的地に向かう為に歩を進めました





「残念そうな顔する程、さっきのが良かったのか?」



不意に聞こえた声の方へ振り向くと門の所で背をもたれ掛かりこちらを見ている私と歳も近いだろう若い男性がいたのでした


「あ、はいそれはもう美しくてあの様な琵琶の音、初めて伺いました」



「そうか」と鈍色の瞳と髪が太陽の反射で美しく光り微笑みを向けたあの顔を私は決して忘れなどありせん


そして男性は口を開いてこう述べました




「俺の名は狛津。そう言ってもらえるなんて光栄だ」












これが貴方との出会いでした





そして私の道は此処から始まるのです