迷姫−戦国時代

浅波と宮火は廊下を歩き浅波は溜息をついた

昨夜から元気のない美羽の様子に二人は心配していた

「我々が留守にしてた間に一体何があったんだか」

「それは本人に聞けば分かるだろう」

廊下を抜け居間の襖を開け目にした先には

夕餉だと思われる料理に蓋がされ机に伏した間々眠っている美羽の姿であった

浅波は羽織っていた羽織りを美羽の肩に掛け苦笑いをする

「この様子だと寝ずに待ってた様だね。やれやれ困ったものだ」

宮火は炊いてあった米をそれぞれ茶碗につけると浅波に視線を向ける

「起こすのか?」

「寝かしといてあげよう」

分かったと言い宮火は美羽を軽々と抱き上げ瞬くまに部屋から消えたと思うと直ぐに姿を現した。手元には二人分の味噌汁を持って


それぞれ腰を下ろし飯に手をつけると昨日の売上などの会話をしてると宮火気になっていた事を浅波に伝える

「ん、昨日狛津さんとの仲を聞かれたって?」

「ああ、別に話て害は無いだろうと思い普通に聞かせたのだが目を丸くして本当なのかとしつこく言われた」


「ん、少し気になるね。少し狛津さんの事調べといてよ」

「分かった」





不意に浅波は箸を止め家内を見渡す

宮火もつられて家内を見渡す。古い造りだが部屋全体が細かな細工などを施されておりそこらの大名等の家にも引けを取らない立派な家である



「一人暮らしにしては広すぎる。・・・何より一つ足りないんだ」

「足りない?・・・何が」

宮火の問いに浅波は耳を澄ましてご覧、分かるだろうと嫌らしく口元に円を描く








耳を澄ませ聞こえてくる音は

風に吹かれ葉の擦れ合う音
鳥の囀り

だがその中でも一段耳に留まるのは、此国に入ってから止む事の無い美しい



琵琶の音色である


浅波の言いたい事に気がついた宮火はゆっくりと瞳を開く

「確かに琵琶は此家に一つも置いて無い」

「ご名答!此国は誰でも必ず琵琶を持っているって聞いたけど此家には無いんだ。貧しい所なら分かるけど違う様だしね」


浅波の洞察力に関心しながら宮火は味噌汁を啜った