迷姫−戦国時代


先程まで元気であった里丸とは一変して急に声の音程が下がり悲しい表情をした

「昔のあんちゃんさ・・・毎日楽しそうに笑ってた。今のあんちゃんの笑顔は偽物だよ・・・。
おいら頑張ったけどさ、・・・どうしようも出来ないや」




泣くのを我慢し拳を強く握り堪えている里丸に美羽は手を差し出し優しくだがしっかりと里丸の頭を数回撫でた

「里丸君は狛津さんが大好きなのね。頑張ったね、・・・ありがとう」




頬を真っ赤に染めた里丸は美羽の言葉に再び笑顔を取り戻しニカリと笑った顔はまるで太陽の様だ




「へへ、なんかあれだな。由利ねーちゃん、菫(すみれ)ねーちゃんみたいだ!」

「菫ねーちゃん?」

「菫ねーちゃんはな・・・「ただいまー」

里丸の言葉を遮り聞き慣れた声の主が襖を開けた


「お帰りなさい二人共。狛津さん見かけなかったかしら?」

美羽の問いに二人は首を横に振り見かけなかったと伝えた


「この子は近所に住んでいる里丸君、里丸君は狛津さんに用が有るから此処で待ったせているの。今日はもう暗し里丸君どうする?」

里丸は暫し考えた後に「明日また来る」と告げ立ち上がる

美羽に送り要らないと断り帰っていった



「二人とも先にご飯食べる?私は後にするから気にしないで」

「ん、頂くよ。先に食べて悪いね」

「(一緒に食べれば良いのにわざわざ・・・)俺も頂きます」

二人は仕事で腹は空腹の状態であった為美羽に詫びて先に食べる事にした












祭が近いからかあちらこちらと人々が琵琶の練習をしておりそれは夜になっても琵琶の音は止む事が無かった








その日の夜、結局狛津さんは帰って来ませんでした