台所に向かうと見慣れた後ろ姿があった
「おはようございます」
「おはよう由利」
浅波は割烹着を着こなし菜箸を持ちながら美羽へと振り向いた
「何故、浪江(なみえ)さんが料理を?」
美羽達は姿を隠す為に偽りの名を作り浅波を此処では浪江と呼んだ
「狛津殿に頼んだのさ。五日ばかり世話になるからせめてもの礼でね」
「(いつの間にやら話がそこまで進んでるわ・・・)そうなのですか。なら私も手伝います」
大根を渡され短冊切りに切っていく。どうやら味噌汁の具に使う為である
漸く出来た料理を机に運び後の二人を起こす為浅波が部屋へと向かってくれたのを他所に美羽は皿等を一つ一つ眺めた。千紫とは違う柄や形にどれもが鮮明に写る。それよりも元の世界でこれ程の物が合ったのだろうかと思った
「あんたは何にでも興味津々ってか」
不意に聞き覚えのある声に後ろを振り向く
「おはようございます。狛津さん・・・」
「ああ、おはよう」
部屋への通路からではなく玄関の方の通路から現れた狛津に内心不思議に思いながら見つめた
「ああ、散歩だよ」
美羽の言いたい事を察した狛津はそう呟いた後に腰を掛けた
「あ、お先に召されても宜しいですよ」
「いい、一緒に頂く。二人はどうしたんだ?」
「浪江さんは宮兄さんを起こす為に居ないのです」
「へぇ、あの少年がなぁ」
そんな話をやり取りしていると襖が空き二人が中に入ってきた
「おはよう宮兄さん。良く眠れましたか?」
「おはよう由利。まあ由利よりは少ないが眠れた」
「酷い」と返しながら二人は腰掛けた
頂きます
それぞれが発して朝食に手を付けた
「上手いな」
狛津は和え物を食べて一言感想を言うと浅波が作ったのだと告げると少なからず浅波も照れていた
「その様子だと料理は余りしない方なのかな?」
「いや大体は出来るがそこまで上手いとまでは言えないがな」
「にしても今日は城下で商売やるんだろ?」
「そうだが。何処で売ればいいのか宜しければ教えてもらいたいのだが」
浅波のお願いに狛津は二言「ああ」と返事を返した

