文を読み終わりそれを袖元にしまい青年はつまらなそうに庭を眺めた

「何をそんなにつまらなそうにしてるの笹木の旦那」

笹木と呼ばれた青年は庭から視線を外さずに答える

「退屈だ・・・実に退屈だ。暇を持て余しておる」


五郎は何も聞かない間々である

笹木は腰を下ろし千紫の山々を見つめる

「某が何故此の国を任されたのかよく分からない。否、長年付き合ってたが此度の件についてもだ」


御立腹の笹木に五郎は苦笑いである

「面倒だ。何故此の様な領地を某が任されなければいかぬのだ。まあ信頼故なのは分かるのだが暇だ、暇なのだ!何か某を楽しませるのは無いのか。そう、例えば賭け事や女とか女とか女とか・・・!千紫の民は美しいと言われて心を弾ませいざ来て見たのだが城に居るのは女は女なのだが年の取った女や人妻や他は男、男、男ではないか。緑よ、なんと残酷な命(めい)を託すのだ。なんと非道な、どうやら緑は某を孤独という名の死をさせるつもりなのだな・・・!」


ああ始まった
目の前にいる笹木という男は幼少の頃から他よりも卓抜された才を持つと誰もが認めており元服した後は国の為に名を残す武将だと言われた程の男である。だが一つだけ、彼を止められないのがあった。寧ろこれが彼の習慣になっていた。それは女であった。彼についての女の話は西賀では日常茶飯事である。否今ではそれが当たり前であると認知されてあるのであった

普段はあまり物事に対して興味を持たない彼なのだが女に関してはこのざまだ

それさえ無ければ普段の彼は優れた西賀の武将なのであるのだが


五郎は少しでもこの男を気にかけた己を責めていた



しかし何故この男と我が主が仲が良いのかは今では七不思議の一つと言われている

この件については幾ら聞いても本人達が教えてくれない為でもある






それにしてもあぁ疲れる
早く旦那の元に帰りたいよ・・・

年下でまりまだ彼の対応を知らない五郎はこの状況をどう切り抜ければいいか分からぬまま、今だに悪態を付く笹木を他所に遠くを見つめ主をこうている五郎であった