「何をしている」 開かれた扉の先に現れたのは、少し息を切らした王子の姿。 「王子、様」 まさか彼が現れるなんて思っていなかったアリシャスは、動揺を隠せない。 「シンデレラに、何をした」 彼女は未だ座り込み、咳込んでいた。 アリシャスは、何も答えない。 「何をした、と 訊いているんだ」 それは“優しい王子様”の面影は消えた、冷酷な彼。 アリシャスはその冷たさに怯えるばかり。 「別に何も、していませんわ」 代わりに口を開いたのは、母親だった。