「まだ、起きるには早い時間だから――」


そう言って、彼は優しい手つきで彼女を再びベッドに寝かす。


「で、でも――・・・・」


また、あの夢を見てしまうかもしれない。
酷く現実と感覚すらもが似ていて、とても おぞましい、あの夢を。



「何も 恐れる事はないのだよ」


その言葉は、まるで彼女が見た夢を知っているかの様。

けれどその言葉は、彼女にとって沈んだ気分を和らげてくれるものだった。



「よい夢を」



そして彼女は 再び夢の世界へ落ちる。
けれどその夢は、とても 彼女にとって幸せなものだった。