僕が もし触れてしまったら、 もし これ以上、僕が口を開けば、 また、彼女のその無垢な心を、悲しませてしまうのかもしれない。 「王子様?」 その言葉に、彼はハッと我に返る。 「何でもない。 それじゃぁ、おやすみ」 最終的に、その手は彼女に触れることはなかった。 目を逸らし、彼はそのまま部屋を後にする。 そんな王子の様子を 彼女は気にとめた。