「あっ、」


ヒョイ、と 彼女の持っていた大きな荷物が、彼に取られる。


「これは僕が持っていく」


「だっ、駄目です! 王子様がそんな事を――!」


メイド達は、さらに混乱するばかり。


「あたし、一人で持っていけます」


自分の手伝っていた仕事を取られたのがイヤだったのか、ムッと彼女は彼を見つめた。



「アンタにとってこの荷物は、重いだろう」


それは、シンデレラにしか聞こえない声。


まさか彼が自分の事を思って、荷物を持ってくれたとは、予想外だった。


「あ、ありがとう、ございます」