「あたしは、此処(お城)に居ていい身分ではありません」 貴族でも、なんでもない。 ( 分かっているわよね? あなたは――― ) あたしは この部屋に居てはいけない。 ましてや 王子様の近くになんて、居てはいけない。 「だから、帰ります」 「――――それは、無理なことだね」 「なっ…」 予想外だった彼の言葉に、彼女は言葉を詰まらせる。 「だってあなたは、」 そっ、 と彼は彼女の頬に触れ、 「もう僕のモノなのだから」 冷やかに けれどそれはとても妖艶に、微笑んだ。