朝目覚めると、すでに王子の姿はなかった。

「……もう公務へ行ってしまったのかしら」

いつもはまだ傍に居る時間だというのに。


「こんな時間から出掛けるなんて珍しいですね」

朝食を取っているとき、一人のメイドが言った。

「いつもはお姫様とご一緒に朝食を取られていらっしゃったのに」

そう、彼女の言うとおり。
二人の想いが結ばれてからというもの、朝食は必ず二人そろっていた。


「公務が忙しいんですね」

「…そうですね。また、体を壊さなければいいですけど……」


メイド達がシンデレラの悲しそうな顔を見たのは、久々だった。


「きっと大丈夫ですよ。今はお姫様が傍にいますもの」


その言葉に、彼女はふわりと微笑んだ。