「父上、僕は今まで通り、あなたに従います。 ですから、僕から彼女を奪わないでください」


それはクロードが父親に対する、初めてのお願い。


すると国王は、静かに腰を上げ、部屋から出て行こうとする。


「あの、父上」

「……少しでも「次期国王」の名を落とすような事を起こせば、私はその女が原因と見なすからな」

二人の横を通り過ぎるとき、彼は静かに そう言った。

その言葉に、クロードは思わず表情を和らげる。


「そんな事は、絶対に致しません」


「…気を緩めるではないぞ」


「はい」


そして国王は、部屋を後にした。