「・・・・・ん、」


まだ少し重たい瞼を、ゆっくりと 彼女は開ける。


「おはよう、シンデレラ」


高くはない、けれど低すぎない丁度いい低音の声が、すぐ傍から聞こえる。


顔を上げれば、そこには 愛しい人がいた。


「体の具合はどうだい?」


クロードの手が、そっ と彼女の額に触れる。
けれどシンデレラからの返事は、なかった。


( 一人に、しないで )


「 ? シ―――」


シンデレラの名前を呼ぼうとした その刹那、
一粒の涙が彼女の頬を伝い、シーツに零れ落ちる。


「どこか、痛いのかい?」


その言葉に、彼女は首を横に振るだけ。

そんな彼女を、彼は優しく 抱き寄せる。