夢の中へと落ちた彼女の額に口付けをし、クロードはバルコニーへ出る。


「ウィズ、そこに居るんだろう」


紺碧の空に浮かぶ月を眺めながら、ポツリと彼はそう呟いた。


すると、木で同じく月を眺めていた一匹の黒猫が、太い枝を伝って 彼の元へやって来る。


紅い瞳が、未だ月を眺めるクロードを見つめ、


「何をそんなに、考え込んでいるんだい」


ゆっくりと 黒猫は口を開いた。