その扉を、彼は静かに開ける。
そして物音を立てないまま、シンデレラの元へ近寄った。


「・・・・・シンデレラ」


夢に魘され、また熱のせいにより、彼女は苦しそうに息をしている。

少し躊躇しながらも、王子は そっ と、彼女の熱い頬に触れる。


「・・・・ん、」


その冷たい指が気持ちいいのか、シンデレラの表情(かお)が和らぐ。
そして静かに、彼女は目を覚ました。


「・・・・っ、」


シンデレラが目覚めた事に気付き、咄嗟に手を離そうそうとするが、


「王子、さま」


弱弱しく、けれどふわりと微笑む彼女を見て、離せなかった。