「・・・・ようやく終わった」


全ての公務が終わった時、すでに時計の針は夜の9時を指していた。


「王子、夕食(ゆうげ)だけでも・・・・」


「いらない。 すぐに出掛けるよ」


「ですが―――」


ガイルが口を挟んだ、その時 コンコン、と扉がノックされる。


「入っていいよ」


その言葉に、シンデレラの侍女であるメイドが一人、困った様子で現れた。


「どうかしたのかい」


「・・・あの、シンデレラ様の様態が悪いのです」


「なっ―――・・・・」

彼女の言葉に、彼は心配を隠せない。


「熱があるようで・・・・。 眠ってはいるのですが、魘されていまして・・・・」


きっとまた、過去の夢を見ているに違いない。
けれど、僕が傍に行った所で、何か出来るのだろうか。