茜色が紫色(ししょく)に染まりつつある空を少し眺め、ため息を零しながらも 彼は多くの書類に再び目を通し始める。


「疲れているご様子ですね。 少し休みますか?」


ガイルの問いに、王子は首を横に振る。


「仕事を溜め込む訳にはいかないからね」


「ですが王子、今夜も行くおつもりなのでしょう」


「あぁ、そうだよ。 今夜、彼と出会い 此処に連れて来る。 そして明後日にでもあの貴族達の元へ行って、シンデレラを解放するんだ」


「そんなに焦らずとも・・・・」


「―――これ以上、彼女を苦しめる訳にはいかないからね」


彼のその切なそうな表情(かお)に、

「・・・・・」

ガイルはつい、口を噤む。


一切 余計な感情を出さず、ただ冷たい瞳をしていた王子が、そんな表情をするなんて・・・・。

それだけ シンデレラ(お姫様)から影響を受けているという事だろうか。


けれど、これ以上王子が無理をすれば、あなた様の身体が壊れてしまう。