たくさんの服が並べられたその部屋で、彼女は力なく座り込んでいる。


( 僕は全部、知っていたよ )


「・・・・・どう、して・・・・」


震える手で、シンデレラは己の身体を抱き締める。



全て知っていたのなら、その時に あたしを捨ててほしかった。
そうすれば、彼にこんな想いなど芽生えなかったのに。

王子様に惹かれてはいけない。

そんなの、分かってた。
なのに 彼が時々、優しくするから―――。


「はやく、捨てて・・・・」


( アンタを手放さない )


そんな事、言わないで。
これ以上 彼に惹かれるのは、辛い。

同情だと分かっていて、優しくされるのなんて、悲しい。