「―――っ」


ドン、 と彼の胸板を押し シンデレラと王子との唇が 離れる。


「・・・・・・・もう少しの、我慢だから」


それはあまりにも弱弱しい声で、思わず 彼女は顔を上げる。


「 」


目に入った王子の姿に、シンデレラは目を見開け そして声は、でなかった。


彼の表情(かお)は、あまりにも切なそうで、けれど何処か 苦しそうで、 それなのに、彼は微笑んでいた。


「・・・・ぁ、」


何か、言わなければいけない。
咄嗟に そう感じたけれど、


「着替えておいで」


あたしが彼に干渉することは いけない事だから、


「―――はい」


ただその言葉だけしか、言えなかった。